Be Closer
すべてのガイド自宅のひじ掛け椅子に座る年配の母親に、大人の娘がひざ掛けをかけている。横の小さなテーブルには湯のみが置かれているAging Parents

退院の前に:親が家に帰る前に確認しておきたい質問

Portrait of Priya Nair, who writes about aging parents, pets and family life for Be CloserPriya Nair 読了目安 9分

質問は駐車場ではなく病棟でしておきましょう。答えられる人がそばにいるのは、あと数分だけです。変わった薬とやめた薬、注意すべきサインとそれぞれの連絡先、体をどこまで動かしてよいか、自宅に実際にどんな支援が来るのか、休日は誰に連絡するのかを確認します。答えは自分の言葉で書き留め、署名の前に声に出して読み返してください。

看護師さんからは、母は十一時に退院できると聞いていました。十一時半には母は着替えを済ませ、ハンドバッグをひざに載せてベッドの端に座っていました。バスを待つ人のようでした。それでも一時になってもまだ病室にいました。退院とは時刻ではなく、決定のことなのだと知りました。その長い午後のどこかで医師が来て、四分ほど話して去っていきました。内容はほとんど覚えていません。覚えているのは、カーテンレールの音だけです。

その四分間は、入院期間のなかでいちばん大切な会話です。けれど多くの家族は、うなずいているうちに終わってしまいます。不注意だからではありません。「今こそ質問を準備しておく時です」と、前もって教えてくれる人がいないからです。

この記事は、その質問のリストです。医療上の助言ではなく、病院のスタッフの説明に代わるものでもありません。答えを知っている人がまだ手の届くところにいるうちに聞いておけば、電話を三回かけずに済み、眠れない夜を一つ減らせる。そんな質問を集めました。前提にしているのは、わたしの家族がゆっくり学んだことです。親は一人の大人であり、これは親自身の体と退院です。質問は、親の頭越しではなく、親と一緒にするのがいちばんうまくいきます。

病棟にいるうちに聞く

スタッフとカルテと親が同じ部屋にそろう時間は、ほんのわずかです。多くの病院には退院支援の担当者がいますので、どなたが窓口になるのか尋ねておくと安心です。エレベーターに乗ってしまえば、どの質問も代表番号への電話と折り返しを待つ時間に変わります。

ですから質問はスマホではなく、紙に書いて持っていきましょう。通知に気を取られずに済みます。紙は、よい心がけよりも一日を長く持ちこたえます。

メモを取ってよいか確認し、話が終わったら書いた内容を声に出して読み返してください。読み返しは誰もが省きがちですが、間違いが見つかるのはこの段階です。わたしの家族でも二度、やめるはずの薬が残っていたことに気づきました。

面倒な家族だと思う必要はありません。夜中の三時に、この情報を抱えて起きているのはあなたなのですから。

薬:変わったものと、やめたもの

退院後に台所まで持ち込まれる混乱の多くは薬に関するものです。そしてたいていは新しい薬ではなく、やめるはずだった古い薬です。見慣れた箱のまま戸棚に残り、二十年来の習慣で飲み続けてしまうのです。

薬について聞くこと

  • 新しく始まる薬は何か、何のための薬か、最初の一週間にどんな感じがありうるか。
  • 量が変わった薬はどれか。親が錠数で数えているなら、ミリグラムではなく錠数で。
  • やめた薬はどれか。自宅の箱は戸棚から片づけたほうがよいか。
  • それぞれを飲む時間と、食後に飲む必要があるもの。
  • 何日分の薬を持ち帰るのか。次の処方は誰が出すのか。
  • 飲み忘れたときはどうするか。忘れることは必ずあります。答えを知っていれば、慌てた電話をせずに済みます。

そのあと、朝、昼、夕、寝る前と、ふだんの言葉で一枚の紙にまとめ、台所の戸棚の内側に貼りましょう。お薬手帳に新しい内容が反映されているかも確かめておくと安心です。薬局で一包化やお薬カレンダーについて相談できることもあります。

そして、その紙を誰が管理するのか今のうちに決めておきます。薬の担当があいまいだと、同じ薬を二度飲ませてしまうことがあります。

注意すべきサインには、連絡先を一つずつ

注意すべきサインに気をつけてください、とはどの家族も言われます。けれどサインごとに何をすればよいかまで教わる家族はほとんどいません。そうして夜中の二時に、この熱は急ぐべきものなのか、様子を見てよいものなのか、ひとりで迷うことになります。

ですからサインと連絡先を、ひと続きで聞いておきましょう。連絡先のない注意サインは、不安を増やすだけです。

  1. 1一時間以内に連絡してほしいのはどんなときか。どの番号にかければよいか。
  2. 2翌朝に知らせればよいのはどんなことか。誰に伝えればよいか。
  3. 3最初の一週間によくあることで、連絡の必要がないものは何か。
  4. 4夜間や休日は誰が対応するのか。番号は変わるのか。

この四つの答えを薬の紙と同じ紙に書き、親の電話のそばにも一部置いておきます。夜中に具合が悪くて目が覚めたとき、必要な番号は枕元にあるべきで、遠くに住むあなたのかばんの中にあっても役に立ちません。電話に出なかったときどうするかを、やわらかく話し合っておくのにもよい機会です。詳しくは親が電話に出ないときをご覧ください。

動いてよい範囲と、家についての正直な質問

病棟は段差がなく、明るく、手すりがたくさんあります。家はそうではありません。玄関の上がりかまち、急な階段、段差のある浴室。退院前にいちばん役立つ質問は、親が体をどこまで動かしてよいかを、具体的に聞くことです。

  • 階段の上り下りはしてよいか。一日に何回、どんな支えがあればよいか。
  • 物を持ち上げるのはよいか。やかん、ペット、買い物袋も含めて。
  • 一人で入浴してよいか。先に手すりやシャワーチェアが必要か。
  • 車の運転はしてよいか。だめなら何週間か。本人には誰から伝えてもらえるか。
  • 最初の一週間、夜に一人で過ごしてよいか。

最後の質問が、ほかのすべてを決めます。答えがいいえなら、病棟を出る前に家族の当番を決めておく必要があります。はいなら、そのことを親にもはっきり伝えてください。長い入院のあとで一人でも大丈夫と言ってもらえるのは、それだけで思いやりになります。

歩行器や手すりなどの用具が必要か、いつ届くのかも確認しましょう。用具が、本人より二週間遅れて届くこともあります。

実際にどんな支援が来るのか、いつからか

家族がいちばん聞きそびれ、あとでいちばん悔やむ質問です。病棟では、訪問看護やケアマネジャーという言葉が出て、みんなうなずきます。ていねいに、繰り返し、具体的な内容を聞いてください。

支援を具体的にする

  • 誰が自宅に来るのか。どんな役割で、何日からか。
  • 週に何回、だいたい何時ごろ、いつまで続くのか。
  • 何をしてもらえて、何はしてもらえないのか。看護、介護、リハビリはそれぞれ役割が違います。
  • 訪問のあいだに家族がすることは何か。はっきり言葉にしてもらいます。
  • 誰も来なかったときの連絡先。実際に起こることですし、恥ずかしいことではありません。

正直な答えが「ほとんど来ない」であれば、四日目に気づくより病棟で知っておくほうがよいのです。ここで外部の支援を考え始める家族も多くいます。考え方は親の在宅支援を頼むにまとめています。どんなサービスが使えるかは、地域包括支援センターや市区町村の窓口で確認してください。

大切な家族との距離を、少しだけ縮めましょう。

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あなたではなく、親が聞くべき質問

自分が椅子に座っているのに、三人称で話されるのはつらいものです。退院の日にはそれがよく起こり、大人になった子どもも例外ではありません。

医師が来る前に、父に何を知りたいか聞いておきます。そして父自身に質問してもらいます。疲れていたり耳が遠かったりするなら、合図を決めておきましょう。父が話し始め、あなたが補います。この会話でのあなたの役目は、代弁者ではなくメモ帳です。

家で何が心配かも聞いてみてください。あなたの心配とは違うことがほとんどです。母の心配は階段ではなく、ベランダの物干しでした。洗濯物を干すことが、一日のなかで自分のものだと感じられる時間だったのです。物干しの高さを下げたことは、手すりよりも大きな意味がありました。こうした考え方は親の尊厳を守るチェックリストでも紹介しています。

失うのが怖いものは何かを聞いてください。それがあなたのリストに載っていることは、ほとんどありません。

病院を出る前に、役割を分ける

誰かが意識して止めないかぎり、回復の負担はいちばん近くに住むきょうだいに集まります。止めやすいのは、退院の記憶が新しく、みんなが関わっている気持ちでいる今です。

  1. 1薬の紙と連絡先を写真に撮り、その夜のうちに家族全員に送る。
  2. 2最初の一週間を言葉にする。誰が何曜日に行くか。電話しかできない人も含めて。
  3. 3遠方のきょうだいには、処方の受け取りや予約、手続きなど、はっきりした役目をお願いする。
  4. 4近況の共有は一日一回、一か所にまとめる。同じ話を五回しなくて済むように。
  5. 5誰かが限界になる前に、十日目に話し合う時間を決めておく。

毎日の近況共有こそが、いちばん近くに住むきょうだいを支えます。

家族向けアプリが役立つところと、正直に言えば役立たないところ

家族の位置情報アプリは医療の道具ではありません。この記事のどこも、そのように読まないでください。退院後の二週間に生まれる小さな手間を減らすことはできますが、それも親が先に同意した場合だけです。ここでの同意は形式ではありません。見守りと監視を分ける、いちばん大事な違いです。

  • 到着のお知らせで、きょうだいやヘルパーさんが家に着いたことがわかり、訪問中に「着いた?」と連絡しなくて済みます。
  • 共有の地図があれば、薬局に寄ってくれる人が道のりをいちいち報告しなくて済みます。
  • 練習しておいたSOSは、親にとって落ち着いて押せる一つのボタンになります。調子のよい午後に一度試しておくと、怖いものではなく見慣れたものになります。
  • 家族全員がお互いに見えること。あなた自身も含めて。それが、見張りではなく家族の段取りだと感じられる理由です。

もっと大切なのは、できないことです。転倒はわかりません。健康状態も見守れません。電話の代わりにもなりません。親が混乱していたり、痛みがあったり、静かに食事をとらなくなっていたりしても教えてはくれません。条件がよければ位置は最大95%の精度ですが、それでも地図の上の点にすぎません。Be Closerは無料でダウンロードでき、App StoreとGoogle Playで15万件以上の評価、星4.4をいただいていますが、どれも顔を見に行くことの代わりにはなりません。

親がスマホに不慣れなら、設定済みの端末を渡すのではなく、一緒にゆっくり設定しましょう。親にスマホを教えるの考え方と同じです。そして、いつでも共有を止めてよいと伝えてください。長いあいだ見られ続けてきた人には、見られない時間を持つ権利があります。

当日のための短いリスト

退院の日、順番に

  • 紙とペン、書き出した質問を持っていく。
  • まず親に、何を知りたいか聞く。
  • 薬を書き留め、声に出して読み返す。
  • 注意サインごとに連絡先をもらう。
  • 体をどこまで動かしてよいか聞く。特に階段と夜の一人の時間。
  • 誰がいつ自宅に来るのか確認する。
  • 寝る前にメモを家族に送る。

それから家に帰り、お茶をいれて、その日は予定より短く終わらせてください。そのあとの二週間には独自のリズムがあります。退院後の二週間の過ごし方をご覧ください。

ご家族から

Portrait of Priya Nair, who writes about aging parents, pets and family life for Be Closer
Priya Nair
Aging Parents, Pets & Family Life

Priya writes about the family members we care for at every age, parents living alone, dogs that bolt at squirrels, and the quiet worry in between. She writes the way she checks in: gently, and always dignity first.

Our guides are written by Be Closer's editorial voices and reviewed by the team behind the app. Questions? support@becloser.com

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