Be Closer
すべてのガイド明るい部屋の椅子に腰を下ろす高齢の女性、そばにひざ掛けと杖と湯呑みが置かれているAging Parents

親が退院して家に帰る日、最初の二週間の穏やかな段取り

Portrait of Priya Nair, who writes about aging parents, pets and family life for Be CloserPriya Nair 読了目安 9分

病棟を出る前に、退院時の説明を自分の言葉で書き直しておきます。そして家は、出ていったときの本人ではなく、帰ってくる本人に合わせて整えます。最初の四十八時間は時間割で考え、声かけの間隔は本人に決めてもらい、家族の分担は初日から決めておきます。回復が誰か一人の肩にだけ乗らないようにするためです。

叔母が退院したのは木曜日の午後でした。タクシーの後部座席で、薬の入った紙袋を、買った覚えのない買い物みたいに膝の上で抱えていました。入院は十一日間。自分の家の玄関を上がり、廊下で立ち止まって、静かに「家が小さくなったみたい」と言いました。誰も返す言葉が見つからず、とりあえずお湯を沸かしてお茶を淹れました。困ったときにお茶を淹れるのは、たいていの場合そこまで悪い答えではありません。

退院は、入院という物語のめでたい結末のように扱われがちです。実際には、そこから別の物語が始まります。そして最初の二週間が、その後の全体を決めます。病棟には手すりがあり、ナースコールがあり、数時間おきに様子を見にくる人がいました。家には、一九九八年から同じ場所にある敷物と、二十年間誰も気に留めなかった段差があります。

この記事は計画であって、手順書ではありません。医療的な助言ではなく、病院や主治医の指示に代わるものでもありません。指示の周りに置く、実務的で人間的な足場です。何を書き留めるか、何をどけるか、誇りを持って暮らしてきた人を見張らずにどう気にかけるか、そして仕事をどう分け合うか。それだけを扱います。

退院時の説明で、実際に書き留めること

退院の手続きは、たいてい慌ただしい時間帯にあっという間に進みます。看護師が薬と次回受診と注意すべき症状を説明している横で、車椅子を押す人が待っています。人間の記憶はそこまで丈夫ではないので、説明してくれている人が目の前にいるうちに書き取ってください。

介護保険の認定を受けている場合は、ケアマネジャーに退院日と自宅の状況をその日のうちに共有しておくと、その後が驚くほど楽になります。訪問看護や訪問介護、福祉用具のレンタルの相談窓口が一本化されるからです。退院前カンファレンスがある場合は、家族の誰か一人が必ず同席しておきたいところです。

病棟を出る前に書き留めておくこと

  • すべての薬について、量、飲む時間、そして新しく始まった薬か、量が変わった薬か、中止になった薬か。中止になった薬は家族が最も見落とす項目です。
  • 回復の見通しをやさしい言葉で。ふつうの疲れが夜中の不安な電話に変わらないようにするためです。
  • 受診の目安になる症状と、病棟に連絡するのか、かかりつけ医に相談するのか、救急車を呼ぶのか。それぞれの電話番号も一緒に。
  • 動作の制限。持ち上げてよい重さ、階段、一人でしてよいこと、そして何週間その制限が続くのか。
  • 次に誰がどう関わるか。訪問なのか、こちらから通院するのか。
  • 土曜の朝に必ず出てくる疑問をぶつけられる担当者の名前と連絡先。

そのうえで、本人が何を理解したかを聞いてみてください。家族が部屋にいないときに実行されるのは、本人が受け取った版のほうです。二つの理解がずれていたら、二週間後ではなく病院の廊下で埋めておきます。

薬は、その日のうちに近所の薬局で在庫を確認しておくと安心です。日曜の夜に一種類足りないと気づくのは、避けられるはずの消耗です。

渡される書類は記録です。自分の言葉で書き直したメモのほうが、計画になります。

帰ってくる前に家を整える

できれば退院の前に家に行き、出ていったときの本人ではなく、帰ってくる本人に合わせて部屋を整えておきます。体力が落ち、足元が不安定な人にとって、同じ部屋はまったく違う場所です。

本人が実際に歩く道筋を、自分で歩いてみてください。玄関から椅子まで、椅子からトイレまで、夜中に布団からトイレまで。その道筋で引っかかるものが、そのまま作業リストになります。

定位置になる椅子

最初の二週間には、たいてい司令塔になる場所ができます。多くの場合それは一脚の椅子です。座面がしっかりしていて、立ち上がりやすい高さのものを選び、その周りに小さな台、充電器、水、眼鏡、リモコン、ティッシュを揃えます。深く沈むソファは優しそうに見えて、実は優しくありません。

夜の眠りと足元の明かり

危ないのは夜中のトイレです。その動線に沿って、暖色のフットライトを低い位置に置き、スイッチを探さなくても道が見えるようにします。二階に寝室がある家なら、二週間だけ一階に布団を敷くほうが親切ではないか、本人に相談してみてください。

つまずきの原因を正直に見直す

  • 敷物とマット。 丸めて別の部屋に置きます。あとで戻せます。このリストで最も効果の大きい一手です。
  • 床を横切るコード類。 いま増やそうとしている充電ケーブルも含みます。
  • 足首の高さの物。 洗濯かご、新聞の束、片付ける予定のまま置かれた箱。
  • 滑るスリッパ。 かかとがあって底がすべりにくいものが、ぱたぱた鳴る一足に勝ります。
  • 台所の高さ。 毎日使う食器と湯呑みとお茶を、腰から目線の間に移します。肩より上と膝より下に日用品を置かないのが原則です。
  • 浴室。 滑り止めマットと、可能なら手すり。介護保険の住宅改修や福祉用具のレンタルが使えることがあるので、ケアマネジャーに聞いてみてください。

動かす作業は帰宅前に済ませ、何をどう変えたかを本人に説明します。椅子に座って見ているだけの状態で自分の家を作り替えられるのは、敷物につまずくよりずっと痛いことです。部屋ごとの見直しは一人暮らしの親の見守りに詳しくまとめてあります。

最初の四十八時間

最初の二日間は、目標を低く設定した独立した企画として扱います。休むこと、薬を時間どおりに飲むこと、食べること、水分をとること、そして予定外のことを起こさないこと。ほかは全部あとでかまいません。

  1. 1家を暖かくして迎える。 簡単なものを一品作っておきます。帰宅後の最初の食事は、栄養より気持ちの面で意味があります。
  2. 2まず薬を並べる。 二種類を超えるなら一週間分のお薬カレンダーに入れ、スマホのアラームか台所のタイマーを併用します。
  3. 3動線を一緒に一度歩く。 玄関、椅子、トイレ、寝床、台所の順に、ゆっくりと。本人に先を歩いてもらい、どこで迷うかを見ます。
  4. 4夜の約束を決める。 スマホはどこに置くか、明かりはどれか、午前三時に助けが必要になったらどうするか。
  5. 5初日の夜は誰かが泊まる。 可能で、本人が望むならです。決めてしまわず、聞いてください。
  6. 6二日間は見舞いを控えてもらう。 気持ちのこもった来客は人数で来て、確実に本人を疲れさせます。いつから来てよいかを先に伝えておきます。

二日目の夜は初日より重くなると思っておいてください。帰宅の高揚が切れ、疲れが本物として出てくる時間です。この落ち込みは自然なもので、家に帰ったのが間違いだった証拠ではありません。

訪問看護やヘルパーの初回がこの時期に入るなら、担当者を落ち着いて紹介し、本人と二人で話す時間を作ってください。家に入って支える人は、予定表ではなく暮らしの中に入ってきます。

尊厳を損なわない声かけの間隔

気づかいには、監視のように感じられてしまう版があります。年を重ねた人はそれを部屋三つ離れていても感じ取ります。違いは頻度ではありません。誰が決めたか、です。

だから形は本人に決めてもらいます。毎朝電話がよいか、メッセージを送って起きたら返す形がよいか。長い電話を一回か、短い電話を三回か。毎日ではなく火曜と金曜か。そして返ってきた答えを守ります。守られる間隔は、交わされる約束より価値があります。

気づかいに感じられる監視に感じられる
本人が選んだ間隔こちらが決めた間隔
「よく眠れた」から始まる電話「薬は飲んだ」から始まる電話
段取りを声に出して共有する黙って様子だけ確認する
一人が調整し、全員が動くきょうだい四人が思い思いに電話する
何があると助かるか尋ねる何が必要かをこちらが決める

小さな工夫として、電話に回復以外の用件を持たせると続きます。相撲の結果、庭の花、近所の工事、孫の宿題。お通じの話より、天気や野球の話のほうが気持ちよく電話に出てもらえますし、声の調子から得られる情報は同じだけあります。毎日の安否確認に、その種の工夫をまとめています。

大切な家族との距離を、少しだけ縮めましょう。

無料でダウンロードできます。1分ほどでサークルの設定が完了します。マップを見られるのは、あなたが招待した人だけです。

財布に入る端末が役に立つ場面

すべての回復に機器が必要なわけではありませんし、退院初日に持ち出すと余計な意味が伝わります。監視の話でなくなるのは、たいてい二週目です。本人がコンビニまで歩きたいと言い出し、こちらは一人で行かせたくない、という日が来ます。

そこで小さな備えを提案します。実際に持ち歩いているスマホ、財布や上着に入れておけるタグ、あるいは診察券と一緒に入るカード型の端末です。伝え方さえ間違えなければ、これは鎖ではありません。散歩に「いってらっしゃい」と言えるようにする道具です。

気を悪くさせずに切り出す方法

  • 黙って入れず、必ず聞く。 内緒で仕込んだ機器は、見つかった日に取り決め全体を台無しにします。
  • 目的を一文で言う。 出かけてもらえるように、そしてこちらが二度電話しなくて済むように、と伝えます。
  • 本人の画面を見せる。 アプリを見せ、こちらの居場所も相手に見えるようにします。見えるのは双方向であるべきです。
  • 切り方を一緒に確認する。 切れるとわかっているから、結局つけたままにしてもらえます。
  • もともと持ち歩くものを選ぶ。 財布のカードや鍵につけるタグは、身につけるのを覚えておく必要がある物より確実です。

限界は正直に伝えてください。位置情報は推定であり、条件のよい場所で最大95%の精度、厚いコンクリート壁の内側では落ちます。Be Closerは無料でダウンロードでき、iPhoneとAndroidに対応し、13言語で使えますが、合鍵を預かってくれるご近所さんの代わりにはなりません。

張りつかずに変化に気づく

探しているのは症状ではありません。それは医師の仕事です。見ているのは暮らしのふつうの手ざわりの変化です。言葉になる前に、そこに先に出るからです。

  • 食事。 食べ飛ばした回数、固くなっていくパン、手つかずの牛乳、なぜか物が減っていない冷蔵庫。
  • 郵便と手続き。 開封されない封筒が積み上がるのは、最も信頼できる静かな合図の一つです。
  • 身なり。 これまでそういう人ではなかったのに、同じ上着を四日続けて着ている。
  • 外との接点。 好きだったはずの集まりを断る。特に家を出る用事から先に減っていきます。
  • 睡眠と気分。 妙な時間に起きている、電話の声が平板、いつもの冗談が出てこない。
  • 自信。 先週までできていた階段や短い散歩を避けるようになる。

これは頭の中に置かず、書き留めてください。価値があるのは一日の出来事ではなく、二週間の傾向です。同じ方向を指し続けるなら、本人や主治医に相談する前に親の老いを示す小さな兆候を読んでおくとよいと思います。

そして切り出すときは、判定ではなく観察として言葉にします。郵便がたまっているみたいだけれど、字が読みにくいのか、それとも面倒なだけなのか。これは質問です。もう一人では無理だ、というのは会話を終わらせる文です。

きょうだいで負担を分ける

多くの家族では、十日ほどで一人が既定の介護者になります。たいていは一番近くに住んでいる人で、たいてい誰も決めていません。そこから静かに不公平感が育ちます。

防ぐ方法は、最初の一週間に事務的で退屈な作業をすることです。仕事の一覧に名前と日付を入れて共有します。気持ちの当番表ではなく、作業の当番表です。

仕事担当頻度
朝の電話週ごとに交代毎日
薬と薬局決まった一人週一回
買い物と食事の用意二人で交互に週二回
通院の付き添いと送迎その日に動ける人予約に合わせて
支払いと書類と電話連絡書類が苦にならない人週一回
用事もなく顔を出す全員いつでも

遠方のきょうだいには、距離が邪魔をしない仕事を渡します。電話、役所と保険の書類、通販での注文、情報を調べること、費用の分担。遠くにいて意見だけを送ってくる兄弟ほど家族を傷めるものはありませんが、多くの場合その人は何をすれば助かるのかを教わっていないだけです。遠距離介護の見守りは、そのまま転送する価値があります。

実務の連絡は一つのグループにまとめ、事実だけを流します。感情の場になったグループは、いずれ全員に通知を切られます。三世代の家族LINEグループに、続けるための約束事をまとめてあります。

二週間が終わるころに

十四日目あたりで座って、三つ尋ねてください。帰ってきた日と比べて、はっきりよくなったことは何か。まだつらいことは何か。この二週間のために用意したもののうち、もう外してよいものはどれか。

最後の問いが大切です。用意したものを外していくことで、回復は生活に戻ります。敷物が元の場所に戻り、一階の布団が畳まれ、毎朝の電話が本人の希望で一日おきになる。自立は、運べるようになった順に一つずつ返していくものです。

叔母は九日目に自分でお茶を淹れ、それを電話で報告してきました。こんなことが報告になるなんて、と少し憤慨した口調でした。報告になります。それがまさに目的だったのですから。

ご家族から

Portrait of Priya Nair, who writes about aging parents, pets and family life for Be Closer
Priya Nair
Aging Parents, Pets & Family Life

Priya writes about the family members we care for at every age, parents living alone, dogs that bolt at squirrels, and the quiet worry in between. She writes the way she checks in: gently, and always dignity first.

Our guides are written by Be Closer's editorial voices and reviewed by the team behind the app. Questions? support@becloser.com

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